「黒字なのに会社が倒産した。」これは経営に携わる多くの方にとって、にわかに信じがたい現象かもしれません。しかし実際には、中小企業の倒産の多くが“黒字倒産”と呼ばれる現象に該当します。
黒字倒産とは、会計上では利益が出ているのに、実際には手元資金が足りずに支払いが滞り、最終的に経営が立ち行かなくなる状態のことを指します。
真面目に働き、売上を伸ばし、利益を出しているにもかかわらず、倒産に至るというのは、経営者にとって非常に理不尽な事態に思えるでしょう。
特に中小企業経営者の多くは、現場の仕事に精一杯で、経営や数字について深く学ぶ時間が取れないというのが実情です。また、相談相手も限られ、頼りにしている税理士や銀行のアドバイスも、実際の経営リスクを正確に回避できるものとは限りません。
本記事では、黒字倒産が起きる主な原因と、数字が苦手な経営者でもできる実践的な対策について解説し、最後にセミナーのご案内を差し上げます。黒字倒産を防ぐ第一歩として、ぜひ読み進めてみてください。

黒字倒産が発生する5つの原因とは?
1,資金繰りの悪化(キャッシュフロー不足)

利益が出ていることと、現金があることはまったく別の話です。たとえば、売上が計上されている取引が売掛金だった場合、実際に入金されるのは1〜2カ月後です。この間に、仕入れの支払い・人件費・家賃・借入金返済などの出費が先に発生すると、資金がショートしてしまうことがあります。
多くの中小企業経営者が「利益が出ているのにお金がない」と感じるのは、この“タイムラグ”のせいです。利益が数字の上であっても、手元資金の流れをきちんと把握していなければ、黒字倒産のリスクを抱えることになります。
2,売掛金の未回収
売掛金とは、すでに商品やサービスを提供したにもかかわらず、まだ現金で回収できていない売上のことです。通常、一定の期間(30日・60日など)を経て支払われる契約になっており、売上が増えるほど売掛金も増える傾向にあります。
問題は、その売掛金が予定通りに回収できなかった場合です。取引先の経営悪化や倒産により、未回収のまま焦げ付くと、それはそのまま会社の損失になります。特に一社依存の取引構造だと、その1社の資金繰りが崩れた瞬間、自社も一気に連鎖倒産する危険性があります。
3,過剰な在庫・先行投資
売上拡大や業績向上を狙って積極的に在庫を増やしたり、新たな機械や設備に投資をしたりすることは、成長戦略としては正しい場合もあります。しかし、それがキャッシュフローに悪影響を及ぼすレベルになると危険信号です。
在庫はお金が“物”になって倉庫に眠っている状態です。回転しなければ現金化されず、資金はどんどん固定化していきます。さらに、投資後に想定通りの売上が上がらなければ、資金は出ていくばかりで、手元に残る現金が減っていきます。
4,借入返済・税金の集中支払い
企業が利益を出せば、当然ながら法人税や消費税の納税義務が発生します。特に中小企業の場合、これらの税金は「まとめて払う」タイミングが集中するため、資金繰りにとっては非常に大きな負担になります。
また、過去に借入をしていた場合、その元本や利息の返済も続いています。これらの支払いが同時期に重なると、現金が一気に流出し、キャッシュフローを圧迫します。資金が潤沢にある時期は何とか対応できても、売上が一時的に落ち込んだタイミングで税・返済の支払いが来ると、倒産の引き金になることがあります。
5,経営判断の遅れと相談相手の不在

中小企業の経営者は多忙で、日々の営業や現場対応に追われるあまり、戦略的な経営判断を後回しにしがちです。さらに、数字に苦手意識があると、キャッシュフローの予測や資金繰りの改善策を立てること自体がハードルになります。
そのため、税理士や銀行に相談するケースが多く見られますが、彼らは“過去の数字”をもとに業務を行う専門家であり、“未来の経営判断”には必ずしも強くありません。アドバイスを受けたとしても、その内容を理解・咀嚼し、自分の経営に応用できなければ意味がないのです。
結果として、間違った投資判断や資金の使い方をしてしまい、倒産に至るというケースも少なくありません。経営者が孤立し、意思決定を感覚や勘に頼ってしまうことこそ、黒字倒産の温床になるのです。
数値が苦手な経営者でもできる黒字倒産を防ぐ対策とは?
黒字倒産を回避するには、何よりも「キャッシュフローの見える化」が重要です。特に、会計知識に不安のある経営者にとって、複雑な財務諸表ではなく、直感的に資金の流れが理解できるツールが有効です。そこで推奨されるのが「利益構造のパズル」です。
利益構造のパズルとは?

利益構造のパズルは、経営におけるお金の流れを8つのブロックに分けて視覚化する手法です。これは、経営者自身が「会社にいくらお金が入り、どこに消えていくのか」を一目で把握するためのフレームワークで、次のような要素で構成されます:
売上
変動費(原材料費、外注費など)
粗利益(売上-変動費)
固定費(人件費、家賃、通信費など)
営業利益
税金
借入返済
最終的な手元資金
この図を使うことで、
・利益が出ているのにお金が残らない理由
・無駄なコストの把握
・借入金の返済負担の可視化
など、財務の核心に直感的にアプローチできます。
利益構造のパズル活用の4つのメリット
①図で理解できるので、会計が苦手でも安心
②社員と共有でき、組織全体で財務感覚を高められる
③資金ショートの兆候に早期に気付ける
④どこに手を打てば改善するかが見える
実践ステップ
STEP① 自社の月次・年間数値を利益構造のパズルのフォーマットに当てはめて整理する
STEP② 毎月更新し、資金の詰まりや使いすぎをチェックする
STEP③ 必要に応じて専門家と一緒に分析し、打ち手を検討する
このように、数値に苦手意識のある経営者でも、「数字を経営に生かす感覚」が身につきます。黒字倒産を防ぐには、単に会計士任せにせず、自分の目と頭で“経営の数字”を捉える仕組みを持つことが、最大のリスク対策です。
利益構造のパズルは、会計に詳しくない人でも会社のお金の流れや収益構造を直感的に理解できるツールです。
まず、決算書では分かりづらい現状を「見える化」できます。過去の決算書から描くことで、収益構造の変化も把握可能です。また、売上・粗利・固定費が変化した場合の利益のシミュレーションや、目標利益から逆算して必要な売上を導き出すことにも活用できます。
「利益は売上の結果」ではなく、「必要な利益から逆算する思考」が身につくのが、このツールの大きな価値です。
経営者が学ぶべきキャッシュフローと経営判断についてのセミナーのご案内

黒字倒産を未然に防ぐには、「企業の健康状態」を経営者自身が把握しておくことが欠かせません。企業の資金繰りや財務体質を定期的に見直し、健全な経営状態を保つには、経営者自身の“数字に対する感度”を高めることが必要です。
今回ご案内するセミナーでは、数字に苦手意識を持つ経営者でも理解できるように設計された内容となっており、以下のようなポイントに焦点を当てています。
・黒字倒産のメカニズムを実例で徹底解説
・税理士との役割分担の正しい理解
・筋肉質な会社のつくり方
・キャッシュフロー視点の意思決定の習慣化
“利益構造のパズル”を用いた資金感覚の視覚化:会計が苦手でもお金の流れが一目でわかるツールを活用し、自社の弱点を可視化します。さらに、セミナー参加者には特典もご用意しています。
それは、「企業の健康診断チェックシート」無料配布:自社の財務状況を自己診断できるツールです。
個別相談の優待案内:希望者には後日、専門アドバイザーによる無料個別アドバイスを実施。
このセミナーは、単なる知識のインプットにとどまらず、「自社に今すぐ落とし込める実践知」を重視しています。
経営者が孤独な意思決定から解放され、より健全な会社をつくるための第一歩として、ぜひこの機会をご活用ください。

